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国民年金の財政が今後厳しくなることもあってか、自助努力による老後の生活費の準備が暗に求められています。
その一環の政府主導による「貯蓄から投資へ」の流れもあり、昨今急激なペースで加入者を伸ばしている確定拠出年金。(以下DC)
当初は企業型しかなかったものが、最近では個人型(イデコ)も登場し、益々資産運用が身近に感じられるようになってきました。
ここでは企業型のDCに焦点を絞り、企業型DCの種類と違いや留意点などをできる限り分かりやすく解説していきたいと思います。
運用の種類もその種類に合わせてしっかり考えないと、ただ保守的に運用していたとしても、結果損をしているケースがあります。
企業においてDCを導入する際には、従業員に向けて会社側からDCの内容や仕組み、メリット・デメリットなどについて説明がなされますが、まずほとんどの場合、企業の担当者の知識レベルが大したことないので、表面的な説明に留まってしまいがちです。
企業型DCといっても導入方法はいくつか種類がありますので、まずはそこから解説します。
企業型DCの種類(退職金部分か福利厚生か)
企業型DCには大きく分けて2種類あります。
それは退職金の移行か福利厚生目的かになります。もう少し簡単にご説明すると、退職金移行とは、DCそのものが退職金の役割を果たしているというものです。
会社の退職金の支払い方はいくつかあり、会社が直接支払うもの、確定給付企業年金(DB)から支払われるもの、確定拠出年金(DC)から支払われるものがあります。
福利厚生目的というのは、従業員の老後の資産形成や節税を目的として、手数料の一部は会社が負担し、掛金は自分で準備する制度です。
まずは自社の制度がどちらに位置付けられているのか、退職金規程を確認してみましょう。
退職金移行の企業型DC
一番注意しなければならないのは前者の「退職金移行」の場合です。例えば退職金が1,000万円だった場合、そのうちの500万円はDCで準備することを想定していることもあります。
DCは運用が失敗することもあるので、退職金満額が保証されているわけではありません。
この水準は企業によってバラバラであり、DCの割合が低いほど、企業は従業員の退職金をしっかり準備してあげようといった意識が高いと言えます。
退職金の一部または全部の運用が自己責任となっているので、運用がうまくいけば退職金が増え、運用が失敗すれば退職金が減ることになります。
保守的な人の場合、自分は運用に詳しくないので「元本保証型の商品」を選択するケースが多いです。元本保証型の商品とは定期預金のようなものです。
これさえ選んでおけば資産は増えることもなければ’減ることもない、よって退職金は満額もらえると考えている人がたくさんいらっしゃいます。ここに実は落とし穴があるのです。
企業側のDCを導入するメリットはいくつかありますが、DCを導入すると、従業員のために退職金を準備する金額が少なくて済むことがあります。
言ってしまえば、退職金満額分のDC掛金を企業は負担してくれないということです。
例えば企業が1,000万円の退職金を準備しようとした場合、掛金の合計は800万円で済むといったものです。(これは極端な例です)
もう少し詳しく言いますと、DCには「想定利回り」と言ったものがあります。この想定利回り通りに運用できた場合に、初めて退職金の満額をDCで準備できることを意味しています。
つまり想定利回りが2%のDCに加入していた場合、毎年2%以上稼がなければ、退職金は減ってしまうことになります。
定期預金の場合、想定利回りを達成できないので、最終的には退職金は満額もらえないことになります。少なくとも想定利率0%の企業はないと考えた方が良いので、定期預金にしている人は少しでも運用するようにしてください。
福利厚生目的のDC
退職金移行のDCと違うところは、加入が任意であることです。加入する場合は毎月の給料やボーナスから天引(というか掛金分支給されない)で資産を構築していきます。
加入しない場合は「前払い給料」といった名目で毎月の給料が増えたように見えますが、実態は全くもらえる金額に変化はありません。
このタイプのDCに加入することのメリットは、運用益が非課税であることもありますが、所得税・住民税が減ることが大きいです。
仕組みとしては、掛金分の所得がそもそも減少してしまうので、所得税・住民税も減少します。その上で非課税で資産運用ができてしまうので、節税と運用を同時追求できるので非常に便利な制度です。
留意点としては厚生年金が減少する可能性があることです。厚生年金は企業での所得を元に計算されているので、その所得が減ってしまえば、国に納める保険料も減り、厚生年金も減ると言った順序です。
とは言っても微々たるものなのであまり気にしなくていいと思います。
頻繁な売買には注意!
DCの商品を選ぶ時、手数料に注目することはとても大切です。安いものでは0.12%くらいからあり、高いものでは2%くらいのものまで様々です。
ホームページなどで見ると年間の手数料が載っているので、単純にその資産を1年間持っていればこれくらいの手数料がかかるんだなと想像することは難しくありません。
もちろんこの年間の手数料が低いことも非常に大事ですが、売買する際の手数料にも注目する必要があります。これはホームページでは開示されてないことが多いです。
少し利益が出たから、損をしたからと言って頻繁に売買をすることはおススメしません。その売買コストがどんどん元本を削っていってしまうからです。
リバランスは年に2回までとか、利益確定と損切りラインは10パーセントなどとあらかじめ決めておき、それ以外では売買しないことが得策です。
毎日のように資産の動向が気になるようでは、本業に身が入らないですからね。
さいごに
DCは企業側にも従業員側にもメリットがたくさんある制度です。企業側では財務的な観点、従業員は節税や資産構築などがあります。
一方でデメリットもあることは認識しておいてください。先に紹介した内容はあまり説明されないことが多く、知らなければ損し続ける可能性もあります。
DCのプラットフォームを提供している銀行や証券会社がどこで儲けようとしているのかを考えてみると、DCの落とし穴が見えてくるかもしれません。
銀行や証券会社の思惑には従わず、賢くDCを活用していただければと思います。